「幸せになってくれ。幸せになってくれ。幸せになってくれ。幸せになってくれ・・・」
読みながらつぶやき続けてしまった。
互いに食べ合うと言う行為は男女の性愛の、暴力衝動は父性愛の、融合し取り込むと言う欲求は母性愛の、それぞれがメタファー、
或いは歪んだ発露として描かれて。
つまりは愛ゆえに、その対象と自分自身を痛め付け、苦しめ、損なわなければいられない矛盾。
或いは兄妹愛のみならず性愛、親子愛、人間愛、あらゆる愛の形の根源を描き切った作品なのかも知れない、と言う感想を得た。
或いは読後、人によっては誰かを愛することが恐ろしくなってしまうかも知れない。
それでも多分、(自分を含めた)誰かを、何かを愛さなければ生きて行けない人間としての感情、それを抱いた時にこの作品の意味を知るのだろう。
さて、ラストはネタバレになるのであえて語らないが、ある意味で切なく、ある意味で冒頭の私の願いを叶えてくれた物だったと言って置こう。
もっとみる▼