辻村深月と言えば『ツナグ』や『かがみの孤城』等の代表作にあるような泣けるハートフルミステリーの印象が強かったので、こちらの第一話を読んだ時に「え?」と意表を突かれました。何を思えばいいのかわからないというか。ただ、その先に進むにつれて「女心
って考えたら、ミステリーだよな...」という感想が出てきました。私自身は幸い作中にあるような事件を起こしたり、巻き込まれたりはないものの、心情として「女って不可解だけど、こういうとこあるよね」というのはすごく良くわかります。気持ちはわかりつつも結末は読めず、しかし納得できる終わり方で、短編なのに密度が濃いからものすごい読みごたえがありました。あまり若い人には共感されない話だろうとは思いましたが、やはり40〜50代向けに書かれたようですね。若い人で今読んでわからない人は10年くらい経過すると印象が変わるかも。最後の短編のラストは辻村さんらしくて、しっかり泣かせられました。
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