主人公の深澤由樹の名を表す漢字は『樹』があるので字で見ると男の子の名と分かりますが、読むと『ゆき』で女の子の名と間違えられそうです。制服で男子と分かるけれども声を聞いても人によっては女子と思う人もいるかもしれません。恐らく高校二年生の今迄其
の可愛さの為に怖い目に遭ってきたのでしょう。其れで極端なあがり症になったのかもしれません。好きな人ができても陰でそっと見ているだけの子なのでしょう。同級生の三吉竜平は由樹の秘めた恋心を知って陰ながら或いは堂々と応援しているようです。
由樹が恋する同級生の境浩之は偶然か将又必然か『声フェティシズム』なので、もう、一組の恋人たちが誕生しそうなのですが、由樹が極端な恥ずかしがり屋なので、二人の間には会話が成立しません。いっそ筆談でもすればと思ってしまうのですが、由樹の声が聴きたい境にとってはそれではつまらないでしょう。同じクラスに居て今迄聴いたことが無いのは何故なのでしょう?由樹と三吉は多分教室でも話していた筈なのに、聴こうと思って聴かないと耳に入ってこないのでしょうね。
此の初々しい恋人たちは此のままでいて欲しいのですが、矢張りBLなので、読者の望む方向性を目指さないといけないのでしょう。高校生なので、それなりの欲は人に知られない処では持っているはずです。
由樹と境は最初の出会いこそ少しずれて居ますが、お互いに相思相愛なので、長続きする恋人たちでしょう。
大槻ミゥ先生の表紙絵やイラストが恋人たちを可愛らしく描いてくれています。
『小さな恋のメロディ』という映画は五十年位前の映画ですが、マーク・レスターが俳優として金髪の可愛い男の子を演じています。相手の女の子の役はトレーシー・ハイドだったと記憶しています。懐かしくなるような素的なお話です。
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