解りにくいなと思う部分がある。でも、時々読み返してしまう物語。酷い環境に育った子どもは、(暴力がない家庭に引き取られて間もないけど)なかなか安心できない、信用できないんだなあと悲しくなる。まるで巣のように居心地を確かめ、周囲の環境を窺い、そ
こに馴染まなくちゃと懸命に取り組む子どもの哀れさが際立つ描写が多々あり、恋物語というより、彼の場合は、同性でなければならないんだろうなあと思う。しがみつくことを許してくれる相手は、女性ではなく、お前がお前でいいんだよと抱き締めてくれる同性でなければ。彼には、恋や愛の前に、自分を酷い目にあわせない仲間が必要なんだろう。夜中に悲鳴を上げた彼が、安心できる場所と相手を本当に掴めたらいいなと思う。
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