題名を見て、まず「魔欠落者」という単語に?と思い、収納魔法のスペースにフェンリルが住み着いた…から、勝手に「魔法が上手く使えない主人公をフェンリルが助けるパターン?」とイージーに考えて読み始めて、ガツンとやられました。生まれた時から多少の差
はあれ6種類の魔法を使えるのが「正しい」状態で、そうじゃない人は役立たずで穢れている「魔欠落者」として社会から抹殺される…という世界での話です。魔欠落者本人だけでなく、その家族も迫害される。実の父親や母親でさえ、魔欠落の子供には殴る、蹴るの暴行を加えたり、魔物のいる山に捨てたりします。5体6法満足に生まれる…と言う言葉が、この世界での価値観の全てを物語っていると言えるでしょう。主人公と、彼女が偶然助けることになった少年も、魔欠落者です。でも1巻は、まだ良かった。2巻が重すぎました。主人公たちが、魔欠落者の子供を攫って鉱山で働かせている小さな国へ連れて行かれた後(その国では「魔欠落者」を「ある魔法に特化した人間」と呼び、「普通の人間」として扱っているのですが)、主人公が「ここでは私も役に立つのね。」と嬉々としていると、仕事を教えるために同行していた大人から「では、動けず、話もできない。ただ、寝ているだけしかできない人は、役立たずだから処分しても良いのでしょうか?」と質問され、主人公は困ってしまうのです。鉱山では毒ガスが噴出しており、鉱山で働いていれば、いずれ病にかかり寝たきりになって、死ぬ…その最後の段階にある人のすべきことは何か?私は、ここで答えを書きません。とにかく作者様の思いが強すぎて「学校の道徳の教本」になりそうな話でした。空想ファンタジーの色を濃く残している点と、この先の展開、そして訳ありそうな主人公の本当の身分(多分、理不尽な世界にリベンジできる)が明かされることを期待して星は3つで。
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