一見すると、聴覚過敏で引きこもりの高校生リクが、強引で自信家なバンドマンのカズと出会い、自分の居場所を見つける青春物、と思いきや、カズもまたリクによって救われる展開で、読み応えがありました。リクのキャラクターも、引きこもりとはいえ、消極的で
ただ悩むだけでなく、自分で考えて行動できるタイプなので、好感が持てます。
二人を取り巻くキャラクターも、個性豊かで芯のある人物ばかりで面白く、特に女性陣が強く頼もしいです。唯一気になったのはリクの母親で、わだかまりのある状態から、コメディ的な勘違いを経てリクを理解するに至りますが、勘違いがあることで、リクへの向き合い方が不十分な印象を受けました(個人的には、決して嫌いなネタではないのですが……)。
文章は読みやすく、「音」や「音楽」の表現が丁寧に描写されていて臨場感があり、引き込まれます。
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