一つの出会いがまず二人の何かを明るくする。そこから始まる好転の連鎖。
不況期の絶望と不安から抜け出す。小さな一歩を重ねる日々。
前向きになれる話。
海外作品のBLノベル。
社会の公器たるべきマスコミなどが流すテロリズムに近いペンの暴
力。個人や特定の家族を狙い撃ちしたゴシップで、弱き個人を執拗に叩く悪しき風潮。
また、誰かにとんでもない噂を流され、それを大勢の人々が真に受けて無責任な非難を集団で集中砲火を向ける悪意の正義。収拾のつかない噂が更なる噂を呼ぶ雪だるま式。これは現代社会でも実際平気でそんなことをしている人間がいることへの作家の静かな怒り、強い抗議活動かもしれない。バックに大勢賛同者を従えて始末の悪い正義の味方気取りで強い言葉をまき散らされ、第2次第3次被害へと広がるのは実社会にも大いにありがち。集団の暴力に非力の個。自分の生命さえ捨て鉢にさせるほど追い込んでおきながら当事者意識欠如の一般大衆。
傷ついた名誉、興味本位に晒された過去の行動、誰だって自分がされたら嫌なことを平然と土足で暴き、踏みつけてとりすましている。世間の先入観を払拭出来るのは、個人対個人という個人基盤の結び付き。
そこに、極悪人のレッテルを身内に貼られて動けなくなってしまった、噂の餌食の人間がいる。
クリーンなヒットを打てなくなった聞屋が出逢う。
信じるって初期は大変。でも、その人を疑いきれない。
お互い相手の内に見たものは真実なのではないのか。
芽生えたものは本物だったと、今日よりも明日が良くなると、二人が一個一個築き上げていくさまに、心洗われる。
短編だから大きなうねりのあるような話ではないが、世知辛い世情描写と、美しい人々の助け合いの姿がいい話。
ただ導入部分のもったいの付け方は、全体の配分からは文字数稼ぎにも見えた。それならばピーターのことももう少し観察箇所が欲しかった。
4.45位のつもり。
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