三十代後半独身美女のラブロマンスだが、出だしはアラカン男との不倫描写で凡作かと少々落胆した。しかしその後、舞台を表題にもある京都に移し、年下との男との絡みに移行。「京都」「偶然の出会いからの逢瀬」は藍川作品に数多く登場するシチュエーションで
、他の多くと異なる点は、ヒロインの装いが和服でないことぐらいか。だが、異性との邂逅から営みに至る描写が丁寧で、プレイの内容も愛情あふれるもの。読み進むにつれ最初のがっかりは完全に失せ、引き込まれた。ただ、あえて注文をつけるとすれば、ヒロインの立ち位置が、年上の男を待ついじらしい女と、京都で出会った年下男をリードする女豹と複雑であり、その二面性をもっと深く描き分けられるとなお良かった。ともあれ、無理なく丁寧な物語展開は星四つの良作という評価がふさわしかろう。
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