過去に恋人同士だった二人がマッチングシステムにより導かれて再会ということだが、それがきっかけだけになっているのは寂しい限りだ。物語の中では、ジュリエットの家は、「身分違い」と記されているのに「辺境とはいえ一帯の名士だ」とか、恋人であったこと
にも結婚への理も反対はされていなかった。この点だけに鑑みると王家と言えど肝要な気がする。後に反体制派の旗頭と祭り上げられたことは、より良い相手という駒になった。どっちにしろ二人を引き裂く外敵は無いということ。このチグハグ感がこの物語のチョビット残念なところ。読書中に「?!」と感じる。「王子の花嫁連れ戻し」じゃないの?と。ジュリエットの弟がなくなったことが発端の痴話げんかが、事を大きくしてしまったジレンマ。ジュリエットがこだわっているのはそこだけ。「普通に陳情しても王や王家は聞いてくれなかった」というジュリエットの発言こそがフィンにとって重大で歴史の浅い王家の存続の道はそこにこそ革新を遂げねばならないと言っているのだ。そもそもフィンはそれを受け取っていた。彼女に伝えていなかっただけで。なのにエンディングでジュリエットが語る言葉「私が窓口になれる」だけで終わっていて、話し合いで二人が和解していくなかで一番の肝となってほしかったところだ。それでも作中は惹かれあっているのになかなか進展しない二人の仲にドキマギしながら、過去の行動に触れ理解し結ばれていく様はトキメキました。高井先生のコマ割りアップが効果的です。
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