読んでよかったと思わせてくれる良いお話でした。
一番思ったのは「恋とは何か」ということです。
キャラクター達の心情が、とても現実に近い描写をされていたと思います。
この作品は本当に一人一人のキャラクターを1人の人間として、その背景や心
情までしっかり作りこんであるなと感じました。
この作品は三角関係の物語ですが、よく漫画で使われる、フラれる方が「当て馬」なんて言葉すら本当に失礼だと考え直させられるくらい、主人公と結ばれなかった方の男の子もとても魅力的でした。
何かが足りなくてフラれたとかでなく、確かに主人公にとって大切な人には変わりないんだと心から思える関係でした。
現実で、離婚するけど嫌いになったわけじゃなくて家族のような存在……なんて言う人がいますが、それってどーゆーこと?と思っていました。
でもこの作品での人間関係を見て、なんだか納得できてしまいました。
主人公にとって、結婚しても上手くいくくらい考え方や感じ方を共有できる相手が、最終的に好きになった彼だったんだろうなーと。
そして、主人公が選ばなかった彼は、恋愛にならなかっただけで、心から大切な人には変わりない。
でもやっぱり、フラれた彼にとっては恋愛だったのだから、同じ気持ちでいてほしかったなっていう切なさも痛いほど伝わってきました。
フラれるとか選ばれるとか関係なく、この作品ではみんなが主役だしどちらもヒーローだったと思います。
どちらも作者さんにとっても読者にとっても愛されるキャラクターで良かったです。
もし別の作者が描かれていたら、フラれる方の彼は自分の気持ちを優先して主人公を縛るようなキャラクターになり得たかもしれません。
でもこの作家さんだからこそ、本当に心から好きだからこそ、悩んで悩んで主人公の気持ちの変化に誰よりも早く気付いて、主人公が笑顔になれる道を選ぶっていうカッコいいキャラクターでした。
最後にフラれた方の彼が、この先気持ちが変わるのを待つ。それが自分の気持ちか、麻子の気持ちかは分からない、と言うのですがその通りですよね。
別の人を好きになれたのならその人と幸せになってほしいし、麻子の気持ちが変わるようなことがあれば幸せにしてあげてほしい、と思ってしまいました。
3巻完結でしたが、もっと続きがみたいと思える部分もありつつ、中だるみせずに綺麗に終わって良かったなとも思います。
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