比較的簡単に描きあげてしまったいつも通りのHQのストーリー、という感じがしてしまった。橋本先生の作品に登場する男性はとても魅力的だが、脚の絵で今回頼りない線を見つけ、百年の恋も覚めかかった。全体として短期で仕上げたかのような感触。
た
ださすがプレイボーイ設定は、男性が自分の魅力に自信があることから、落とそうと狙いをつけて迫るグイ感がたまりません。
なかなか陥落しないヒロインの踏みとどまりも良かった。真実が明るみになったあとの、彼のヒロインへの対応も大人で。
ただその辺りから、感情よりも客観説明みたいな進行の仕方に、趣向が変わった様に思える。欲しかったのは彼が知った後の違い、そして、ヒロインの心の中。
ストーリーの骨格そのものはありふれてるだけに、その辺を、私はもっとエモーショナルな部分で味わいたかった。だから、なんとなく共感度が高まらなかった。
王国の話もどこか嘘臭さ(HQの王国物はいずれも嘘だから、そこにある程度は欲しいまことしやかさ)が強く、ちゃんと中に入り込みたかった。
統治者的な部分も、より感じ取りたかった。
安定の作品、危なげなく仕上げて来ていて損した感無いが、といって、お得だとまではー。
表情豊かなキャラには動きがあって、設定自体はよくある設定でもその中での人物が生き生きしているのは、橋本先生の力量が確かだから。
この後星合先生の手による「カリアキスの秘密の跡継ぎ」を読んだが、ちょっと趣向が似通っていて、二者二様の王子物なので読み比べると面白い。
与えられた役目を模範的に頑張ったのがあちらなら、こちらは、飛び出して居直ったようにレースで暴れてきたやんちゃ。どちらともそれぞれのキャラに合う作風を持つ先生が担当する格好になり、対照的な二人を描けていて楽しい。
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