内容読んでからレビューを見て「泣いた」という評が多めなことに驚いた。泣きはしないが、個人的に面白いとは思ったし、絵も好きです。時々顔が伸びちゃうけど。終始いろんな意味でテンションが高く、登場人物や画面(絵面)の方向性が喜怒哀楽の感情にせわし
なく極端にガンガン振り切れていくので、パニックムービーっぽい。だから読んでいて不安になる。攻めと受けの精神が不安定過ぎて、このまま叫び出して窓から飛び降りでもするんじゃないのかと思っていたら、突然理解者たる経営者とその従業員が主人公達を取り囲み今までの流れを無視して「ハッピーエンド!!!!」と大声を張り上げるような強引に締めるスタイルで、読了後はなんだか言い知れぬ恐怖心が残る。最後に恐怖心が残るのは、それより前に街中で手を繋いで通行人に白い目で見られる、そしてそれに対し「他者と違う位置づけに置かれた状況」に慄く、という攻めの描写がかなりパンチ強めに描かれているのも一因。あのシーンを経てからの、人前式のようなキスシーンの締めは、こちらに「……まさかどこかのタイミングで二人は死んだ? 死にゆく攻めか受けの幸せな妄想?」と思わせるような一種の異様さがある。エピソードのひと塊ごとに、まるで別人みたいな精神不安定さが攻めにも受けにもあるし、やたら叫びだすところが現代邦画っぽい。「出口と入口のテンションを揃えればなんとなくまとまって見える」という手法が、よりサイコホラー感を演出している。
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