遺品整理で帰郷した田舎で不思議な体験をした男の周りで起こる輪廻転生のお話。
とにかく一生の想いが切ない。一生のターンになってからのモノローグが、一生の苦しくて悩ましい想いに満ちていて、切なくて悲しくてやりきれない気持ちになりました。涼太の
二人分愛してるという気持ちにも嘘はないのかもしれないけど、一生が抱く自分の存在意義や自分自身の気持ち、思い出が千鶴というフィルターによって薄まってしまったように感じるのも無理はないかなと思います。一生と千鶴は同一人物であっても、今現在生きているのは一生です。私が読んで感じたのは、一生は千鶴の記憶を持って生まれた一生そのものであるということ。千鶴としての気持ちで動いていることはほとんどなく、彼のアイデンティティは一生として生きていると感じました。それ故に涼太の解釈では100%納得出来ないのではと感じてしまいました。とはいえ、物語はハピエンだし、その辺りも深掘りせずに終わってしまったのが良かったような残念なような複雑な気持ちです。こういう輪廻転生モノは複雑に問題が絡み合っていて、決着するところがとても難しいと思います。そこに果敢に挑んだ心意気は素晴らしいし、このストーリーにある程度は相応しい終着点には落ち着いたかなと思える作品です。
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