タイトルは、世界的ヒットとなった歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』との関連を感じる。
そこでは、私たちのあり得る未来として、「データ主義」の未来が論じられていた。それはテクノロジーとデータに信頼を寄せ、アナログではなくデジ
タルに主権を預けるような未来予想。
このマンガは、そうした「データ主義」の未来を描く。ロボットが感情を持ち、それが進化した生命体として現れる世界の物語。
ホモサピエンスの歴史から、ロボ・サピエンスの歴史に替わるまでの一幕を描いている。だからこそ、『ロボ・サピエンス前史』なんだろな。
私はハラリさんの本を読み、「データ主義」の未来に少なからず恐怖を覚えた。しかし、この物語で描かれるそれは、自分の想像よりずっと穏やかで、もっと丁寧な世界であるように感じられた。
アナログである私たちサピエンスと、似て非なるロボ・サピエンス。その違いに根差した物悲しさと、ある種の希望を感じさせる物語だと思う。「未知の未来」に対して想像力を向ける、ユニークで独特な雰囲気が魅力な作品。
もっとみる▼