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いん靡という言葉が似合う、さびれた田舎が舞台のオムニバス。生徒も、教師も、訪れる客も、村の大人も、みんなみんな狂ってる。
廃校を免れるため、村のため、という名目で行われる学校での売/春。仕掛人であり一人だけこの学校の生徒
ではない三妻の本当の思惑はどこにあるのか。記憶の曖昧な医者は一体何者なのか。神域、毒キノコ、美しい風景、少年達の喪失の記憶、綯い交ぜになって形作られた作品世界は、臓物のグロテスクさがあり、また星の瞬きの煌めきもあります。
どのキャラクターもそれぞれに抱えているものがあって、苦しくなる感じが良かったです。裕貴の虚しさ、耕太の闇深さがしんどい。比較的幸せなのが、沼田キヨとミツキ(表紙で大きく描かれている二人)の年子の同学年兄弟で、実兄弟好きにはたまらんです。べったり同化しているタイプではない、それでも離れない連星のような二人で、花冠のエピソードがとても良かった。
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作品ページタイトルには反映されていませんが、表紙に明記されているようにあくまで『三年生編』であって、作品全体はまだ完結していません。特に三つ子の出番がほぼありません。OPERA誌上に続きが幾つか掲載されているようですが……いつか単行本になるのかな。頼むからなって。
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