人の一生になぞらえて語られる細胞の一生が、一個一個意味を持った生き方に見えてきて、彼らの頑張りが尊いモノに感じ取れてきた。自分の身体を当然のように私物化してたわけだけれど、実は考え方一つなんじゃないかと考えられるようになってきた。
身体に
は、人体と共存している細菌もあるしで、パーツパーツを細胞というミクロレベルで捉えてみれば、その微小なものは一様に全て、生まれてからそして死んでいく、という意味で軌を一にしていて、生とは大小の差こそあれ皆同じなんだな、と、改めて学ぶ事が出来た。
生命の神秘、と一口に言うが、生き物とは素晴らしく精巧に(機械みたいに)作られているいわば合成の、つまりは無数の夥しい小システムの合体的な、よくコントロールされた有機的組織なんだな。まさに細胞が「働いている」事を実感した。
これは、教育的に子に読ませる事もいいし、大人でも知的好奇心が気持ちよく満たされる事にもなるし、自身の身体を、ひいては自分という、具体的でありながらも抽象的に理解している存在のメカニズムを科学的に理解する凄い貴重な機会だ。
人物の絵が少し粗めで簡単なのと、文字が多めなのが、読み易さを妨げている。
伝えたい情報量と、与えられた頁数との関係から難しい舵取りとは思うが、「教えて白血球」等のミニ解説を挟む場所が窮屈に見える。(漫画を担当する先生に因る。)
これは本編まとまって読むとかなりな知識が入ってくるだろう。
人体の事なのに、その生々しさを気持ち悪がる女児らが居て(まだ子どものうちから、医学生物学薬学看護などの方面への未来を完全にシャットアウトするなんて本当に勿体ない。でも、彼女らの大きい拒絶反応により、その時間を人体の探求には充てない、との方針になった経験)体内のとあるパーツのメカニズムを学びたい男児の希望には応えられなくなった経験があるが、先にこの漫画を読む機会が彼女らにあったならばもしや知的欲求が芽生えたんじゃないか、と、この漫画の効用を大いに期待せずにはいられない。掲載誌が「なかよし」版もあるようだから。口当たり軽く、身近な出来事感覚で読めることから、人体の現象を気味悪いだなどとは恐らく受け止めなくなると思う。
これは紙なら小学校の各教室の後ろの書棚に入れておいた方がいい書籍、親ならパソコンなら読書タイムがあったら是非子どもに開かせてみて欲しい書籍、と、強く推薦したくなる。
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