この作者の作品は特に「夜伽執事 レイ編」のような賛否両論?の癖の強い、独特な部分があったのだが。
しかし、この作品はまさに夏の島での若者達の恋らしく、全体的に開放的で明るく微笑ましい話。
読みやすくて読後感も良かった。
最初か
らヒロインに辛辣な対応をされてもめげない、前向きなヒーローも良いし。
そして実際には可愛くてスタイルも良いのに自信が持てなかったり、また、その分析癖から自分から今まで多くの恋愛のチャンスを壊してきた、不器用なヒロインも良い。
何よりも話や主要人物に変な癖がないのが良い。
私はTLの持ち味というのは良くも悪くもそのライトさが大きな特徴だと思うので。
やはり、なるべく短めのページ数で展開される話は読者側からも短時間でさらりと読める内容が求められている部分もあるのだろうし。
それにも関わらず、この作者の「夜伽執事 レイ編」はそうしたTLの傾向の中ではかなり独特というか、異色の作品だった。
妙にマニアックというか、作者自身の嗜好が強く反映されていた印象が強く。
反対にだからこそ、はまる読者ははまるのだろうが。
とにかくあの作品から自分が全体的に強く感じた点としては。
ヒロインに加え、ヒーローのレイの過去や背景が重過ぎたというか。
どちらの親の方もその愛情が異常で歪んでいる。
(前作の「夜伽執事」のハトリのような過去の恋愛のトラウマレベルではなかった。一見、いかにも上品な彼のその物腰から普通の家庭で育っていそうなレイなのに。それがまさかあんな壮絶な生い立ちだったとは。)
TLにそこまでのシリアスさやハードな設定を求めていない私としてはあまりにもこれらの部分が重くて胃もたれがした。
だがあれから作者も一般受けするような作品の傾向を理解してきたのか。
今回の作品からもわかる通り、以前には見られた独特のアクや癖がなくなり、いい感じに軽やかになっていると思う。
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