初読み作家様です。新刊漁りで見つけて、面白そうな気がして購入。極道系の作品ですが、なんちゃってヤクザではなく、設定も展開も良く出来た作品だと思います。
ハッキングの技術を見込んで、長谷川に囚われの身となったシュウ。相貌失認と潔癖症で、人と
の関わりを避けてきた。長谷川に汚されてしまった身体でありながら、長谷川に対して潔癖になりきれず、相貌失認もちょっと弱いかなぁ、という気がしました。まぁ、そこが物語のメインではないので、そうでありながらも、徐々に惹かれていくシュウが良かったです。生身の人間を拒絶してきたシュウの執着が、効果的に映りました。
長谷川が組の若から強要される理不尽な事。組織に属すれば、組の一齣にしか過ぎないけれど、道具のような扱いには悔しいものがある。だから人として、男としてシュウに必要とされる事で、長谷川もまた愛おしい感情を知った気がします。二人の歪な関係も愛というんでしょうね。
若のぶっ飛んだ数々の行動は、もう行き過ぎたヤクザの末路かと思いましたが、その真の目的になるほどです。はぁ、そういう事か……納得。
他のレビューを読んで、妻の一人勝ちにも目からウロコの納得でした。自分の視点で気づかない事って、やっぱり他の方のレビューで助けられる事がありますね。有り難いです。
三年後と書き下ろしの二人が穏やかで、愛しさを噛み締めてるようで良かったです!カバー下の二人が面白い!
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