有名なリバースはシリアス過ぎて私には重く、ハマれませんでしたが、これは良かったです。
重度難聴のデイトレーダーと天才肌のバイオリニストのお話ですが、タイトル通り、一見正反対と言えるほど遠い世界にいる二人がゆっくりゆっくり心を通わせてい
く様が丁寧に描かれています。
障害のある主人公は諸刃の剣というか、描き方が難しいのではと思いますが、当事者の五十鈴がものすごく自分の足でしっかり立っているのと、悲観しすぎていないので読みやすいです。十嘉含め、周りの登場人物も接し方がナチュラル。
障害の設定は活かしつつ、でも良い意味で掘り下げ過ぎていないので、二人の恋だけに集中できる仕様になっています(笑)
難聴設定ゆえに会話の描写が筆談や読唇なので、ページが静か。表情だけで読み手に想像させるコマが多いのですが、心の動きが絵からものすごく伝わってきます。
正直に言うと麻生先生の絵は好みではないのですが、やはり絵で表現する力が卓越した作家さんのお一人だなと思います。感情をしっかり表現できる画力がないと描けない設定なので、さすがの一言です。
完結していないので今後評価が変わるかもしれませんが、きっと間違いない予感がします。
ストーリー重視の方やしっとりしたお話を読みたいときにおすすめです。
まだ一巻ですが、次巻以降二人の関係が深まっていくのが楽しみです。
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