19世紀初頭、激動の時代のフランスで、近代絵画の先駆者と呼ばれた画家、テオドール・ジェリコーの半生――。
凄みを感じる装丁。
絵も登場人物も荒々しかった。
ジェリコーの、火花を散らすような激しい衝動をそのまま原稿に落とし込んだ感じ
。
裕福な家庭に生まれ、美貌に恵まれ、才能にも恵まれた彼が傲慢になるのは仕方のないことなのか…
実際にあった過去の凄惨な遭難事故を、歴史に残る名画として描き上げてゆく過程は鬼気迫るものがあるけれど、自分も周囲もなりふり構わず犠牲にしてゆく姿は読んでいて少し苦しかった。
重厚な読後感。
そこには善も悪もない、ただ真摯に生きた命の物語…いろいろと胸にずしっとくる作品でした。
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