ベニスとロンドンとでは太陽光線が違う。そこが表されていた。
濃い全体の黒みで、登場人物達が怒っているような顔もあって、絵はゴツゴツとしていることも多い。その分背景コマも負けない主張がある。
15ページ二つ目のコマなど、悪人なのか?とすら
疑ってしまうような思わせ振り展開で、結果、波乱の種かもと警戒しながら読み進めて肩すかし。
なかなか煮え切らない彼と、婚約者との悔い残す死別に囚われてきたヒロインとが、作品の暗さに陰影を付ける。
送り出してくれた書店店主のことも忘れてはいない、的な取って付けた印象が最後に残り、やや作家側のご都合が鼻につく。
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