麻生先生の画風はお屋敷のゴージャス感と時折キラキラッと光るスターリーなコマの表現、登場人物のバタ臭さがなぜか不思議なくらいにピタリと収まるキレカワなファッション。きっとそこはそういう世界なのだとすっかり信じこまされてしまう。しかも絶対にそこ
は日本ではないという感覚を味わえる。
セレブ登場が欠かせぬHQにあって、麻生作品は妙にホントっぽく見せる魔法で、読んでいるひととき、その夢環境にわざわざ遊びに行ってきました、という日常からの離脱体験感覚的作品が多いと思うが、これもそのひとつ。
意地悪もなければ、殊更に冷たい扱いなどによって傷つけられることもなく、このストーリーは、ただ、妹がもたらしてくれた出会いと組み合わせで成り立つ。二重の人違いが新たなカップルを誕生させた。それがなければ二人は出会うこともなかった。出会いとは偶然の産物であることを語ってくれた、とも言えるだろう。
麻生先生の描く男性は、服を着ていても、服を着ている姿を通して、その服で包まれた身体のほうが主張して私の眼に訴えるよう。
そんな強い男性アピールが感じられるので、作風に見慣れると、キスシーンでさえも、かなり入り込める。
当初、余りにも円満解決過ぎて過ぎて、平均点をクリアした感覚で星四つにしたが、二度目にも作品の魅力は褪せなかったので、星五つにノッチアップ。
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