高校のHPに設置されたチャットをきっかけに知り合った学生3人と教師、4人の物語。
分かっているのはHNと学校を爆破したいと言う共通の意志だけ。
HNで呼び合う事で、日常から離れ、ありのままの自分で接する内に生まれた4人の友情とも
絆とも言えない関係性は、戦友と言う言葉が相応しいのかもしれません。
他人から見れば、そんな事で悩む必要ないのに、という些細な事でも、自分にとっては重い問題だったりして、正面から向き合う勇気もなく、ただただ現実逃避して息を潜めて毎日をやり過ごして。
そして、そんな毎日を過ごしている内に、明日なんてこなければいいのに、明日地球が滅亡してしまえばいいのに、と考えた事がある人は少なくないはず。
誰の心の中にもある些細な“地獄”が描かれた秀逸な内容で、活字の小説では著せない微妙な心の機微を表情や仕草の描写に、作者の才能を感じました。
様々な事件が起きるのに、終始、低温な温度感が続く独特な雰囲気で、好き好き別れる作品だと思いますが。
マンガみたいに現実はハッピーエンドにはならないけれど、皆、心の中に何かしらを抱えながら生きているんだなと思うと、自分だけが苦しい訳じゃないのかも、と少しだけ息をするのが楽になるかもしれません。
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