深謀遠慮というのか、冷静沈着を装っているというのか、両人共に懐に飛び込んでいくよりも、様子を見ながら相手を試すような台詞をぶつけて。
気になっているから、相手の気に障ることを言ってしまう。自分を預けきれないから、心理的に遠巻きにしていたい
。
素直になりきれない、というか、自分の心の内を十分わかりきれない。自信がない。故に相手にも踏み出せない。
久保田先生の線の描き方が、適度に乾いていてカッコいい。それでいて、笑いを取るシーンもある。
メイン二人の恋のウロウロうじうじしたところが、私には永遠に続きそうで、少々めんどくさかった。
作品の仕上がり頁数が天井に控えているから決着がついたかのような感じがした。
弟妹に背中を押され、これ迄は彼らの前で彼ダニエルは保護者面していたのに、と、そこは、立場の入れ替わりに苦笑。でも、恋した人間はいくつになっても目の前の恋に手を拱いてしまう姿に共感。と同時に、弟の言うとおりだわ、ってそこはああだこうだしてるメイン二人を、シンプルにサクッと図らずも総括する弟。
好きなんでしょ、なぜそこまでいろいろ理屈を捏ねる?、敵も居なければ障害も、二人の心理的障壁以外無いのに!?、という感じにこちらがモヤッ。
最後に突き崩す動きは良かったが、それまでのウロウロした様を見せつけられて溜まったじれったさの方をスカッと消し飛ばし去る、とまでは行かず、余りバランスが(私には)良くなかった。
バランスついでにもうひとつ。
興味ないと偽って興味ある娘の部屋に入り、当人は気が進んでないのに押し掛け女房ならぬ押し掛け旦那、洗濯までもなると、緊急事態とはいえ、しかも、それが話の最初の大きい要素になってる進行とはいえ、少し気持ち良くない。人柄なのは判るが踏み込みっぷりが。
彼は経験が少ないんじゃ!?、とのヒロインの推測と、実際は相手の女性には困ったことなかったという彼にそこそこ経験数ある現実。ストーリー面では実は外に見せてるものと中身が違う点はお互い様でも、何だか既に恋の駆け引きとかでなくて、此ではヒロインが「騙される」みたいで、真反対の結果も産み出しかねない成り行きに思えてしまう。
ダニエルは悪人ではなかったから成立するストーリーに思えてしまう。
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