二人が知り合うことになったきっかけ、企画が、互いに正反対の生活を知るいい機会となった。
知れば知るほど、相手の事を解るし、違いもまた、より意識する。
けれど、頭で考えるのとは別に、キスをしたい、キスをされたい、とは感覚の問題。この衝
動が沸き上がるのが、このストーリーのなかでいいと思うところ。
そして、彼ウィルが、キスをしたい。と口にするシーンも良かった。
好きという感情は理性でどうこうできないけれど、彼は終始ちょっと積極的で、しかも、どうしたら二人がやっていけるか真摯に考えるような、誠実で、想いにはまっすぐ行動するような人柄。むさくないのにほどほどに熱く、なのに冷静、そんな、豊かな感受性とさらりとした彼のメンタリティが共存するのが魅力的だ。力みが空回りせずに、結末まで、望んだものを諦めることなく達成を、目指す。ヒロインは力んでいるが、仕方ない。何であいつが出世を?、との思いは、女性ならば、そしてそれが企業の勤め人なら、日本なら、もっともっと、何度も心の中で叫んできたことだろう。
HQはお伽噺とわかっていても嬉しかった。
家事も子育てもしっかり日常生活として、その中に入り込んで取り組んでくれて、かつ優しくて観察力洞察力も優れ、社会人としても確かな基盤を築いている素敵な人、いないいない、居るのはHQの中にだけ。やっぱりこのひととき、読んでる時間というのが私には幸福感をもらえる小さな休憩時間。つかの間の幸福感を味わった。
MBAは会社を休まないと取れないような厳しい資格だが、軽やかに全部捨てずに乗り切る様を描写してくれるなら、話中の、何であんなのが出世するんだろう、という、誰もが会社で抱くようなヒロインの悔しさまで、見事晴らしてくれていたら、いうことなかった。
牧先生の絵は好きで、特に人物絵が可愛らしいと思っているが、時折左目が右よりも、寄り目か、マンガ的な殴られたよう眼に見えることがある。
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