背伸びとも言えるけれど、御伽話だったら「見初められる」ヒロインはみんな身の丈以上の玉の輿。
こちら気に入ってもらえるように一生懸命。その努力があっぱれなのだが、別のレビューアーさんの書いている通り、これは人によっては好まないかもしれない。
私は許容範囲。私が苦手なブリっ子よりも格段根性が入っていて、玉砕覚悟の上の精一杯の出血戦略。偉いと思う。
自分の会社で目撃した過去の突撃作戦を思うと世の中このお話並みにすさまじいのだから。暗くなってきた物陰にこの人は何故居るのか、と思っていたら、超人気者の会社帰りを待ち伏せる女の子だった、というのを偶然見かけたことがある。男性のほうは偶然と思ったらしいが、張込みであった。見事彼女は彼と結婚した。そんな一部始終を見てしまった私は、このヒロインは評価出来る。
自分からアタックというのを(私も出来ないタイプではあるが)する人はリスクを冒して頑張っている、という意味で凄いことだ。浅ましいと思う人は本当に好きなのか、少なくとも、本当に何とかなりたい子はいろんな事をやらかしている。この努力家ヒロインのように未来への投資という名でなんとか彼の目に留まりたいとする人の方が、ふんぞり返って愛を欲しがる人より、潔いところもある。
隠し事、嘘をつく、これは自分を飾る、という行為の突っ走った形として、難しいところにはあるとは思う。プライバシーに触れているのも気持ちが悪いと言えば悪いかもしれない。
ただ、物を落とせば、中身は点検されるのが普通ではある。
気に入ってくれたから免罪だがヒロインに好感が持たれなかったら、つきまといと近く、危険なやり方でもある。
私も公衆電話に手帳を置き忘れて、二十歳前正体不明の拾い主から電話がかかった時、相手の顔が判らぬからこそ恐怖心があり、取りに会う約束などしなかった。
しかし、彼は顔をみて相手が、どんな人間か見るチャンスは有った。
これはお話だから、突っ走ったヒロインのコメディで終わるけれど、スリリングな要素をそこに滲ませた点、好不評は確かに分かれることと思う。
お話の世界でなければ、彼も、おかしい、怪しい、と偶然の重なり具合に引っ掛かり、不信感は持たれるものだろう。
邦題の暗喩が効いている。でも、鏡は白雪姫では?
オードリー・ヘップバーン主演、実はただの小娘が演技と嘘で頑張る趣向の映画「昼下がりの情事」を思い出した。
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