泣いたと書かれたレビューを見ましたけど、私もそうでした。(といって、悲しい話ではありません。)
しかも、一度読めば大丈夫だろうとタカをくくって、通勤電車内で再読し始めたところまた涙腺に来そうになり、これはいかんイカンと、ホームで、端で
、続きを読んで、終わるまで決壊のため動けませんでした。
自分のために戦ってくれる人、現れたら揺さぶられないわけがありません。美貌を武器にする優男かと思いきや、まさかの非力でもなんでもなく、命がけで女を守る本物のヒーローなのでした。
ヒロインはしっかり者だけども固い鎧をまとって生きてた。女一匹、過酷な環境に育った少女時代、女性の遺産相続人で生きる窮屈さ、恋だ愛だということにはそれは夢見るわけには行きませんでしたよね。精一杯だったのでしょう。
このストーリーは、設定が、見かけが素敵な男性の本物の恋というのではなくて、隠れ肉体派の男性の真の甲斐性、つまりチャラ男風キャラを裏切る中身のほうの男らしさとその真っ直ぐさが重要な物語進行の鍵となっています。家族思いに泣かされます。持たざる男であるがばかりに貴公子の真反対であることのどこに彼の責任がありましょう。けれど、すごく、果たすべき以上に責任を全うしていますよ。こんなに家族を大切にする人の妻は幸せ間違いないというもの。
安い男に見える登場で読者にちょっと先入観を持たせ、次第にヴェールを脱いで見えてくる骨太さ、ヒロインの高い資力にタダ乗り出来ないのが気高くて格好いい。
現実のこの世の中なんて普通に結婚相手の選択には、その実家の財力をあてにするヒモ的な気質の人決して少なくないのに、堂々の自力へのこだわり!素晴らしい。
指輪も泣けました。序盤に登場した指輪と終盤での指輪。対照的。高価な指環より、本当の価値のあるプロポーズの証。お金で買う愛情のアピールでなく、愛情を精一杯示す指環。準備して臨む心に打たれてしまって。
ストーリーの各所で泣かされたのは、悲しいからというより、辛さをグチにしない健気さ潔さ、自分をかばわない献身。
ああ、これで、男性の絵がもう少し好みであったなら!キャラを踏まえてるので仕方ないのですが、そのため、本物の優男にしか見えないのです。そういう話なんですけど!
その後も何度でも読むたび毎にウルっとしてしまいます。
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