表題シリーズ3話と別シリーズ3話の2作品入り。いずれも短篇連作。
・『闇月王』近代イングランド。祖父の他界によって遺産の整理が行われる中、現れた屋敷の精霊「闇月王」。仰々しい名前にオールバックの見た目の精霊が起こす「呪い」はどれも他愛なく
、なんだかほのぼの。でも、キュウリのサンドイッチに砂がかかってるのはイヤだなw お人好しの主人公ケネスと遠縁のエディスとの恋模様も平和で良い。これを読んだ後は、松ぼっくりがいとおしくなります。特に大事件があるわけでもなく、なんてことない日常になんてことなく不思議の世界の住人が紛れ込む、この作者さんはそれが良い。この精霊、本当にエール地方の伝説なのか作者の創作なのか、ずっと気になってるんですよね。星5つ。
・『テンプテーション』こちらは現代(スマホ以前)アメリカ(たぶん)。突然引退した社長の息子と、有能な秘書シャオピン、そして飼い犬のラッコの、にぎやかコメディー。善人ではあっても三ヶ月で会社を傾けられる才能の主人公に対する秘書からの呼称が「若ぼん」なのが、ぴったり合ってて好きです。
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