270ページ。
7作入り短編集。
・『夜のやさしい手』飼い猫のモノローグにくるまれた、遺された者達の話。サスペンスな味付け。巻き込まれる事件、知らない人の写真、聞きたくてももう夫は死んでしまっているどうしようもない悲しみ。
・『花の家
』日本画家が妻のために遺した美しい花々の絵。けれども桜の花だけは……。微BLで従兄弟で、16ページと短いながら、耽美で良かったです。これだけ少し古めの時代感なのも好み。星5つ。
・『会わずに愛して』世間知らずの学者の奥様の、ちょっとした夫婦喧嘩と仲直りに誘拐事件を添えて。コミカル。
・『にっぽん・ぱらだいす』下町の長屋で祖父と暮らす主人公と、日系3世エリートとのロマンス。コミカル。
・『月の光』エンバーミングと月の魔力感と。お知り合いに原作を書いてもらったそうです。
・『たとえば白い花の下に』文学界の重鎮だった父親の遺した家で息子が出会ったのは、美しい謎の少年。作家が追い続けた若き日の幻影。微BL。少しおまけの星4つ。
・『女神の末裔』離婚して実家に戻ってきた青年、穏やかな日々を彩るのは、バステトという名の猫と、猫のような少女。離婚した元妻のことを考えると、悲しすぎていけません。
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レディース誌掲載作が多く、現代日本(でも10年以上前)が舞台のものがほとんどです。この作者さんの幽玄と言える雰囲気は、近代以前が舞台の作品の方が合っている気がします。どれも話はしっかりしてると思うし、感情の描き方も良いんですが、どうにも自分にはしっくりこないものが残ってしまって、星の数が伸びません。
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