初読みの作家さんでした。上手い!と思いました。文章が上手いのは勿論のこと、その場の空気感や聴覚視覚等に訴える表現の仕方が上手く、その空間に入り込めました。で、内容ですが、あとがきにもあるように、健気・不憫・無垢のトリプル受けが、一途で美丈夫
な領主の息子(長男ですが側室腹なので子供ができなくてもまあOKか)に愛されて幸福になっていくという、おとぎ話の王道です。後半は山場もあって、読み応えあり。時代物ですが、架空の小国が舞台なので、あまりそこは構えなくて大丈夫です。主人公の空良(捨)の過去は不憫なのですが、物語現在ではそういう不憫さはないですし、何より本人が自分を不憫だとは思わないまま16年間生きてきているので、ジメジメした感じがなく良かったです。あと、個人的には、高虎の「そなたをお守りする」的な敬意ある姿勢に萌えました(睦合うようになってから?は「お前」呼びになってましたが。それはそれで距離の縮まり方に萌えた笑)。ただ、空良のキャラが完全に芯の強い可憐な美少女なので(フリではなく素で)、そういう受けが苦手な方は合わないかもしれません。ちなみに、本編の後に短編が2つ入っていますが(電子限定書き下ろし含む)、どちらも後日談ではなく、本編中の小話です。後日談が読みたかったなー。
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