権力を求める支配欲、止まらぬ領土拡大への野心、政敵を陥れる陰謀。血塗られた玉座。悪意も嘘もはびこる私利私欲まみれの特権階級層。世界史では道徳の類は後ろへ追いやられ、人間の醜い争いの連鎖が前面に。威光を借りて、お金にたかり、謀殺がある。
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わ寄せにあえいだ者達の怒りと不満が爆発する。無理に抑えようとすればマグマは別の所から吹き出すだけで、向かう先は大きくは変わらない。
何が起こったか、というのは歴史上の出来事のただ時系列的認識で終わる。どう起こったか、背景にはどんな事情があったのか、多様な言い分や見方が描写されると立体的に把握できる。
本書は解説的な文字量の多い頁は客観的に、当事者達の主観的な受け止め方はまんがの方で見せることによって、歴史的事実を「何故起きた?」という回答の一つを呈示している。時代の中の人々の気性みたいなものが表されている。
その感情移入させやすい作りは、分かり易さはある。
但し、同時代にそこに居合わせたら素直に怖いな、というような、彼らの戦い(武力行使とは限らない)の長さや過酷さを後世の自分達は想像し、読みながら私は厭戦気分でいっぱい、かといって誰にもどうとも変えられることも出来なかったのか、とも感じてしまう。そんな対立や同盟の絡まりの(目まぐるしい)変化を駆け足で見せる。
ダイジェスト版だからなのかもしれないが、そうした、歴史というものが抱える暗部の余りの多さに少々気が滅入る。
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