ライトノベル、令嬢ものはやはり子供向けで語気やインパクトの強い言葉遣いや大袈裟な表現が多いと感じていましたが、今作はまるで19世紀後半のイギリス小説を読んでいるかのようでした。表現がキツくなくわざとらしさもないけれど空気感や情景がありありと
浮かび素晴らしい表現力のおかげで、その世界にいつの間にか浸っていました。私のイメージでは19世紀末から20世紀初頭のイギリスで自動車はまだ一般的ではないくらい。ダウントンアビーのシーズン1くらいのイメージでした。ゴージャスなドレスも多いようだし、設備的にももう少し古い時代かな?この頃のイギリスはじわじわと女性の自立が始まりつつある時代で、まさにアンバーの立ち上がる姿が重なった訳です。
イギリス小説のようだと感じたのは恋の話やちょっとした事件も散りばめられている点です。魔法で屋敷の壁が破壊されるような大事件はありませんがハラハラするような場面や心配事もなくならず飽きさせません。ライトノベルでこの空気感を楽しめるとは思っていませんでした。作中の絵本屋さんのようにこの作品から本格的な小説を読んでみたくなったり、興味が広がる方もいたらいいなと思う良作でした。
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