5年前に偶然関係を持った男娼との濃厚な日々が忘れられずにいるリーマンが、海外赴任から戻ってきたらその男娼が部下となって再会するお話。
最初から最後までとにかくずっと切ないです。というのも、ナギを忘れられないくらい好きな門崎と過去を思い出し
たくないくらい囚われている二神、二人の想いが明らかに重なっているから。だけど、本音を伝え合わないまま切れた過去と5年という年月の重みが大きすぎて、色々変わってしまった中で気持ちを認め二人でやり直すことの難しさが痛いほど伝わってきました。諦めたくない、いや諦めよう、諦めてほしい、諦められない、そんな行ったり来たりの想いが、丁寧に描かれていて、終始切なさで苦しかったです。
お互いの気持ちの部分はとても細かく描かれていますが、全体的には気になる部分もいくつかありました。ナギが渡した指輪の経緯(どれくらい大切なものなのか)や、就職先が門崎の会社であるということなどです。伏線があったように感じるし、この部分が語られたら二神の気持ちや苦労などがより深く理解できたかなと思うと、少し残念に思いました。
とはいえ、全体的に暗く重いお話ですが、気持ちがひしひしと伝わってくるいいお話だと思います。
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