著者らしいファンタジックな短編集。
・『ハニー&クリーム』少し昔のどこか外国、アニメーションスタジオ勤務の青年オットー。同僚のパットへのライバル心や、憧れのアリスへの届かない恋心、そして妖精の見せたささやかな魔法。なんか妙に好きな話です。
星5つ。
・『ウィニー・メイの夢』SF。実験のアクシデントでエレナの身体に記憶が移ってしまったレフスキー教授。脳内での二人の心の触れ合いが、やさしく、そして前を向く助けとなります。同著者別単行本『福袋』にも収録。星4つ。
・『夏休みの新記録』石の水切りが得意な男子が人魚を救う、明るい冒険。
・『チクタク・とくん』腕時計擬人化ほのぼのショート。星4つ。
・『ランプ』男の子の空想と現実の間、ランプのあかりの南極基地ごっこ、仲良しの女の子、美しい景色に秘密通信。児童文学的良作、星5つ。
・『チカチカミミちゃん』(全5話)別単行本『すてきな瞳』収録『月夜の話』をふくらませたのかな。「オチカ」という、本に出入りできる魔法を持つ妖精がミミちゃんのもとに現れての、楽しい魔法やひと騒動。学習誌に載ってそうな感じ。3話以降、子供向けっぽさが強くなってしまった感じ。
・『子リスのポッキー』タイトルからかわいいメルヘンと思わせて、SF。ガラスの向こう、見えるだけでは、世界は自分のものにならない。星5つ。
・『お父さんのクリスマス』ショート。かつてサンタクロースが来なかった少年が父親になって、迎えたクリスマスの夜。星5つ。
@サブスク。
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著者作品、短篇が特に好きです。ファンタジックだったりメルヘンだったり、思わぬところでザクッと刺してきたり。
同志の方に是非読んでいただきたいのが『オリヒメ』と『ヒコボシ』(いずれも電子化の後に配信停止)、『レイニー通りの虹』(未電子化)。いつか電子配本されると良いな。
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