好きだった者同士なら、たとえ視力を失っても、そんなわからないはずはないような気がしてならない。このストーリーは、しかも二人がかつて、むごい引き裂かれ方をしたのだが、そのことへの当人たちのことの真偽を確かめたい、との意思がなぜ当時具体的行動を
起こさなかったか、との疑問の喚起を抑えることができない。なんとなくモヤッと来る。
知りたくない、これ以上傷つきたくない、というのもあるだろう。もうわかった、と、さっと離れたと。
しかし、これほどサッパリしない話を読むと、二人の関係はあやふやだったのだろうか、との疑いも生まれてしまい、逆に仲を裂いた人間が悪人となるほど悪かったのか、という印象もないわけではない。悪人面で演出してあるが、世の中そういう人は結構いるかも、という変なリアリティを見出だしてしまい、世の中の、他人の恋路を邪魔立てする人物をただ、化体させたに過ぎないように思えてくる。
もちろん、読者としての気分は、その人物があんなことをその時言わなければこんなこときは、との許せない怒りの感情。
再びすんなり近づける経緯も出来すぎの話みたく思え、偶然の要素の多いストーリーの多いHQにしても、座り心地がいいと言えない。
ストーリー上の気になるところをフォーカスし始めると、実は絵柄にもどことなく子供っぽさを残すところがあるように見えてきて、話の世界のなかに終に入れない。
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