ここまでしつこく、くどくど、ねちねち、言われ続けて、そして、耐えきれずヒロインは去った。心はもうこれ以上彼の側にいたのではもたない、そう思ったからの当然の成り行きでしょう。
ところが簡単に戻った。時の経過やヒロインの店の成功辺りの描写に、
これまでの繰り返される暴言とのバランスが悪く、爽快感不足で読み終える。
盛り上がったところでどん底に突き落とされ、頼ったらあからさまに蔑まれ、それでもプライドを捨てて店のために彼の条件を飲んだら、今度は愛人扱い。去ったままのハーレクインがあってもいいと思ったくらいだ。
愛してるから許される、それは大間違いだ。
愛していても、例え嫌いな相手でも、ヒロインは何も悪いことを彼にしていない。ヒロインは彼が好きだったから、で、ヒロインの行為は落ち度は全くない。彼は、モラハラを執拗に繰り返した。どの顔で現れる事が出来るというのだ?
ヒロインが、彼のことを、みたび受け入れるラストに、私は恋に落ちてしまった者の弱味を見せつけられた思いで、6年越しの一喜一憂が哀しかった。謝罪の言葉を得ても言い訳に聞こえ、あぁ良かったね、などとは到底思えなかった。母親のひどさに全てを責任転嫁するかの安易な思い込み、否寧ろ卑怯な八つ当たりにすら感じて、鼻の筋が釣り上がり、私なら冷たかった言葉と態度を水に流せない、と燻りが収まらない苦々しさで、いつもHQを読んでいるときにはなったことのない顔を、戻せず。ひどいことを言ったね、なんて、言葉はひとたび放たれたら取り返しがつかないものなのだ。過去のその時その時の各時点で、一回でもそう思って踏み留まれることなくこれまで女性に平然と投げつけてきたほうが問題なのだ。好きである女性に限らず、どんな女性に対してだって言ってはならない、したりしてはならない態度だったのではなかったのか、と、今更ながら愛していたんだ、なんてと、鼻白むとはこのことだ、と思いながら読み終えた。
清らかに真っ直ぐな恋、「凍らせる」事の出来ない愛、これまで幾度も踏みにじってきたのに、彼の告白ひとつで全てを帳消しにするのは、あんまりなストーリーだと思う。
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