何も考えていないわけじゃない。考えることが必要ではないから。なぜならば、それは分かっているから。必要な事と必要でない事、その全てを分かっているから。それだけで良い。分かっていても それ を得られないイワンの孤独がガンガン伝わって、嗚咽を伴っ
て涙し、頁を繰る手が、度々止まる。全身でこの世の無情を受け 耐え 姉(母)だけを望み 歩き続ける。そう、事実歩いていた。日々一緒に生活することだけを希望して探し歩いていた。イアンの過去を見せる展開も考えられてあり、そのエピソードは、巻末からまた先頭へ戻るというエンドレスな配置になっていて、それは、物語を見せるだけでなくて、このヒューマンドラマも現実もエンドレスであるという作りが伏線のようで胸が痛む。イアンに「知識」が有ったら、友人を作ることに長けていたら、ジムの存在も希望になっていたらという物思いには、大切なものに「気付くこと」が希望になり、生きていけるのだと教えられた。
もっとみる▼