ひょっとしてこれはノンフィクションでは?!と思わせるような展開。なぜなら、物語の進展には姉弟の環境や感情を主軸に進んでいるから。まるで主人公のケイラが実在し、その自伝の一部であるかのように錯覚する。一途にケイラを愛するデュアルドは、その感情
を一切表面に出すことなく登場している。これは写実的で、相手の考えていることは誰にも分らない当たり前の様を如実に表している。これはHQにとってとても異色な事ではあるが、この場合成功していて デュアルドという男の身を置いている「企業戦士の世界」がじわじわと伝わって、成功の裏にある危険な暗闇の恐怖がゾワゾワと尻から上がってくる。事象の時系列の説明セリフも分かりやすくて、いついかなる時もポーカーフェイスのデュアルドだから起こりえたすれ違いに納得させらて読み進められる。ケイラにとっては、このデュアルドの態度が彼女の思い込みを加速させ勘違いを生み出した要因ですが。HQでは甘い言葉を羅列しがちだが、それをしていないところがかえって彼のブレない気持ちを表せているに他ならない。引くべきところは引き、攻撃するときは素早く確実に仕留めてきた彼が、ケイラに頼られる時をひたすらに待ち続けていた姿勢には、熱くこみ上げるものを感じるとともに、背筋の凍るような思いも感じる。これはハードボイルドなのか・・・夢見る恋愛ファンタジーとは一線を画している。
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