貧しく気候の悪い国から人柱に船で流されるウサギ種の主人公ときたらどんなに可哀想なお話が始まるのだろうと思いきや、海流により必ず辿り着くとされている貢ぎ先は温暖で裕福な共存が実現された先進国であり毎年流れ着くウサギ種たちを神の子として保護して
きたというのです。
ウサギ種のミミと保護される館の責任者である神官のレクシュアはたぶん周囲のおとなが見れば一目でああ……て感じにいちゃいちゃして見えたに違いないのですが、レクシュアは神の子(みんなきれい)に安定した生活を得るために貴族に紹介、マッチングさせる立場という設定えろ過ぎる! と一気に読んでしまいました。
ミミが保護される館は身寄りのない子供たちを保護する館でもあり、この国では子供たちも皆神の子と呼ばれています。
この国では婚姻はあらゆる種族どうしで結ぶことができ、男女を問いません。あらゆる夫婦が実子やそうでない子も関係なく育て、家を継いでゆきます。
館の教育のなかで語られる国の設定ですが、はっきりと書くことでよりお話の世界が豊かになる気がします。
まじめなレクシュアに色恋を知らない強みで素直にせまるミミはかわいくてなりませんが発情期に二度陥らせるのは鬼の所業、耐えるレクシュア最高ですし、おなじ境遇の先輩ラランとミミのマッチング相手のジェレミラ公爵もその後が読みたくなるいいこ、いい人です。
ファンタジーというよりはお伽話と呼びたい、可愛らしい幸せにあふれたお話でした。
石原ひな子先生の復調を心よりお喜び申し上げます。
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